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火星探査で宇宙飛行士のがんリスクが劇的に上昇

 宇宙飛行士が地球から火星まで移動する際、がんリスクが劇的に上昇する可能性があることが、米ネバダ大学ラスベガス校の宇宙物理学者であるFrancis Cucinotta氏らによる研究で示唆された。長期的な深宇宙探査による放射線被曝は、すでに損傷した細胞だけでなく、その近くの正常な細胞にも影響を及ぼすという。詳細は「Scientific Reports」5月12日オンライン版に掲載された。

 宇宙空間では高エネルギーの放射線である宇宙線が飛び交っている。同氏らによると、この宇宙線に含まれている陽子や重イオンへの曝露は、深刻な細胞損傷の原因となるという。

 今回の研究では、宇宙飛行士が深宇宙への長期にわたるミッションを遂行する過程で、損傷した細胞の周囲にある正常な細胞でも発がんリスクが高まることを想定したモデル(non-targeted effect model)を用いて火星探査に伴うがんリスクを推定。その結果、従来の推定モデルを使用した場合と比べて同リスクは2倍超に高まることが示されたという。

 Cucinotta氏は「宇宙線への曝露は、細胞の核を破壊して変異を引き起こし、がんを発症させる可能性がある。さらに、損傷した細胞が周囲の正常な細胞にシグナルを送り、組織の微小環境を変化させるようだ。そのシグナルが正常細胞を刺激して変異を促し、それによりさらに多くの腫瘍やがんを引き起こすと考えられる」と説明している。

 これまでの研究では、深宇宙探査によってがんや白内障、急性放射線症候群、循環器系および中枢神経系の障害などのリスクが上昇することが明らかにされている。こうした推定で用いられる典型的なモデルは、NASAが使用するものも含めて、放射線に関連したがんの原因はDNAの損傷・変異だと想定している。しかし、これらのモデルは火星探査ミッションに要する期間よりもはるかに短い期間に基づいてつくられたものだという。

 Cucinotta氏は「火星探査は900日以上のミッションとなり、1年以上は宇宙線に含まれている重イオンの全エネルギーへの曝露が避けられない深宇宙で過ごすことになる。現在取られている放射線防御策のみでは被曝量をわずかに低減できるに過ぎない」と指摘。その上で、宇宙飛行士が深宇宙探査に挑む前に、宇宙線への長期曝露による影響について、さらなる研究を行う必要があると強調している。

(HealthDay News 2017年6月15日)

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