セミナーレポートVol.14
覚悟と義務 行政施策から考える 薬剤師、薬局の今後

セミナーレポートVol.14

覚悟と義務 行政施策から考える 薬剤師、薬局の今後

更新日:2023年10月23日

本レポートでは、2023年9月27日に開催されたオンラインセミナー「覚悟と義務 行政施策から考える 薬剤師、薬局の今後」の講演内容をダイジェストでご紹介いたします。

医薬経済社 日刊RISFAX元編集長
玉田 慎二

株式会社ユニケソフトウェアリサーチ
ノアメディカルシステム株式会社

概要

薬局・薬剤師を取り巻く環境は、今、ダイナミックな「変化の時」を迎えています。冒頭、玉田慎二氏は、24年度診療報酬改定、調剤の一部外部委託、医療DX、電子処方箋等、変化の課題は山積していることを述べ、「薬剤師・薬局の覚悟と義務」をキーワードに、今後の行政施策について解説が行われました。

トリプル改定+少子化対策となる24年度改定の行方

始めに2024年度の改定は、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のいわゆるトリプル改定と少子化対策を足した4つの改定になり、全体としての改定率がどうなるかに今、注目が集まっていると述べた。しかし、「異次元の少子化対策」年間3兆円の予算が何処から捻出されるかは今年末に決まるため、それまで全体の改定率は決まらない模様である。因みに前回22年度の診療報酬改定は、「技術料本体+0.43%」とほぼ横ばいだったが、財務省からは「躊躇なくマイナス改定をすべき」との声もあり、小泉政権以来のマイナス改定(02年度▲1.3%、06年度▲1.36%)の可能性も示唆されていると解説した。

前回改定を踏まえ見えてきた24年度調剤報酬

続いて玉田氏は、前回22年度改定では大規模グループ薬局の調剤基本料の見直しが行われ、新設された「同一グループで処方箋受付回数が月40万回超又は同一グループの保険薬局の数が300以上であり処方箋集中率が85%以下」の薬局は調剤基本料(3ハ)32点となり、該当した薬局の損益率は高く30社約100億円の損失があったと説明した。24年度改定でも同様な改定が予想され、前回の改定案が11月時点で出されていたことを踏まえると業界団体は早めに行動をすべきではとの見解を示した。

また昨今、敷地内薬局は厚労省、医師会などから評価が低く、敷地内薬局の調剤報酬で厳格な見直しが行われることが予想される。しかしながら、敷地内薬局こそのメリットを活かし、より一層取り組むこともできる。例えば、敷地内薬局がある医療機関のうち連携していると認識しているのは40%未満という調査報告もあり、敷地内の専門医療機関連携薬局などが病院薬剤部へ連携強化を働きかけることで敷地内薬局の可能性が広がると述べた。

リフィル処方箋、調剤の一部外部委託の実現性

前回の改定で導入された「リフィル処方箋」について、未だ全体の1%と普及はあまり進んでいない。その要因にはリフィル処方箋の活用が病院の利益減少になることが挙げられるが、ある大学病院では院内の働き方改革への着手として、病院薬剤師から病院側に働きかけ活用をスタートさせ成功しているケースもある。さらに、これにより保険薬局の継続的経過観察の結果報告も行われるようになったことで、薬局薬剤師の職能拡大にも繋がっていると述べた。

「調剤の一部外部委託」については、既に一部の地域では試行されているが、調剤業務を外部委託することで業務の効率化、対人業務に対応するというロジックに則り、厚労省内では進める方針となっていると解説した。

まとめ

少子高齢化の進展などに伴う様々な環境変化により調剤報酬は年々厳しくなっており、24年度改定でも同様に厳しいものになることが予想される。一方、調剤報酬の評価は、薬局薬剤師が対物中心の業務から対人業務へとシフトすることにより、患者や地域住民の治療や健康維持の支援に一層取り組む観点から最近の診療報酬の各種算定状況も踏まえ考えられることは明確である。該当する薬局はまだ少ないが前回改定で新設の医療的ケア児に対する薬学的管理(小児特定加算)、または薬剤師の本業発揮ともいうべき残薬・多剤投与解消対応(服用薬剤調整支援料)などは、まさに苦労してニーズに応えた薬剤師が評価される結果となっている。

玉田氏は、このような算定が今後も新設されるよう薬局経営者も現場薬剤師も視野を広げていくことが大切であると締めくくった。

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