セミナーレポートVol.12
調剤薬局における 医療情報の動向と活用の可能性

セミナーレポートVol.12

調剤薬局における 医療情報の動向と活用の可能性

本レポートでは、2023年6月27日に開催されたオンラインセミナー「調剤薬局における 医療情報の動向と活用の可能性 」の講演内容をダイジェストでご紹介いたします。

  開催日時

 2023年6月27日(木)19:00-20:15

  主催

 株式会社ユニケソフトウェアリサーチ
 株式会社JMDC 
 ノアメディカルシステム株式会社

概要

マイナンバーカードの交付率は2023年6月11日時点で73%に達しています。今後、健康保険証との一体化施策などにより、さらに普及していくことが予測される事から、本セミナーでは、マイナポータルから取得した情報を薬局で活用し新たなサービスとして期待される展開について、株式会社JMDCの相園氏、浜田氏から解説いただき、そして株式会社ユニケソフトウェアリサーチからは、薬局における医療情報の活用について、ご案内させていただきました。 

マイナポータル連携PHRの最新動向 ~医療保険情報APIの活用性~

  スピーカー

相園氏より、マイナポータルからAPI*を通じて情報連携を行う仕組みについて説明がなされた。マイナポータルには、医療保険情報、自己情報、電子申請等様々な情報が集約している。2021年夏に医療保険情報取得APIが新設され、現在、自治体とPHR**事業者は「特定健診情報・薬剤情報(処方情報)・医療費通知情報」の取得が可能である。医療従事者は、ユーザーが第三者への情報提供に同意することでPHR事業者を通して情報が取得できると説明した。

そして、今後は現在取得可能な情報に加えて、事業主健診や電子カルテの情報などもAPI連携される可能性があると示唆した。相園氏は、マイナポータル連携で取得した情報を利用すると、薬局でさまざまな取り組みが可能になり、サービスの充実だけでなく売り上げにも大きなポテンシャルがあると紹介した。

*API:アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programing Interface)の頭文字。ソフトウエア(今回の場合はマイナポータル)とWebサービスを繋ぐインターフェース。**PHR:パーソナル・ヘルス・レコード(Personal Health Record)の頭文字。個人の健康情報のことで、これを活用したサービスを指す場合もある。健康情報を使ってサービス提供を行う事業者をPHR事業者と呼ぶ。

調剤薬局におけるデータ・AIドリブン施策の可能性

  スピーカー

浜田氏は、マイナポータルとAI技術を組み合わせたサービス展開について説明した。 AIはビッグデータからパターンを認識して予測するものであり、データ量や項目数が多いほど精度が高まる性質がある。JMDC社は、約1,000万人超のレセプトデータをもとにした日本最大規模の疫学データベースを保有しており、そのデータを機械学習で解析し、多数のAIを開発している。

JMDC社が開発したAIとマイナポータル連携の組み合わせにより可能になる施策を、具体例を挙げて紹介した。

  • おくすり手帳における服薬継続・最適勧奨予測AI
    どのような患者がどのような服薬をいつ中止しがちか等のパターンを解析したAIで、患者に合わせた最適な服薬勧奨方法等を予測。
  • 医療費予測AI
    JMDCの「健康年齢」では、健診データから将来の医療費を予測し、その金額に相当する年齢を提示。
  • 健康タスクレコメンドAI
    マイナポータルデータに基づき、パーソナルトレーナーのように、その患者にとって続けやすく成果につながりやすいタスクを予測し提案。さらにタスク実施状況を学習させることで、AIが進化し、より的確にタスクの提示が可能に。
  • クロスセル・離反予測AI
    患者属性や薬局の使い方のデータから、集約化や離反の可能性がある患者を抽出して、来店時に声をかけるなどの行動を効率的に実施。
  • クーポン最適化予測AI
    クーポンがあってはじめて行動する層を予測して、対象を絞り込んでクーポンを配布することで効率的な販促を実現。
  • 薬局における医療保険情報の活用

      スピーカー

    株式会社ユニケソフトウェアリサーチ ロゴ

    ユニケからは、国が主導している医療DXの定義*を伝え、薬局に関連するDXは“ヘルスデータ共有” “病院間の連携” “電子カルテ” “マイナンバーカード”であるとご案内しました。マイナンバーの急速な普及とオンライン資格確認の義務化によって、2023年4月の医療情報活用の伸びは顕著であり、中でも医科診療所における薬剤情報が突出している状況から、医科診療所がオン資による医療情報の活用を積極的に行っているとの考察をお伝えしました。

    更には、トピックとして、保険薬局に関わる医療DX推進に関する工程についてもご説明し、薬剤師がふれる情報量の拡大に伴い、得られた情報を患者のために役立てるアクションが、よりよい薬局運営につながるため、電子処方箋機能**の利用や薬局向け情報サイトの活用についてご案内をいたしました。

    *医療DXの定義:保健・医療・介護の各段階において発生する情報に関し、その全体が最適化された基盤を構築し、活用することを通じて、保健・医療・介護の関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えていくこと。
    **電子処方箋機能:https://www.unike.co.jp/knowledge/p-cuben_denshishohosen/

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