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セミナーレポートVol.5
最新の医療行政の動向や2022年調剤報酬改定の見通し
セミナーレポートVol.5
最新の医療行政の動向や2022年調剤報酬改定の見通し
本レポートでは、2021年12月16日に開催されたオンラインセミナー「最新の医療行政の動向や2022年調剤報酬改定の見通し」の講演内容などをご紹介いたします。
セミナー概要
開催日時
2021年12月16日(木) 19:00-20:30
対象
薬局経営者、薬局管理者、薬局に勤務されている薬剤師の方
内容
「最新の医療行政の動向や2022年調剤報酬改定の見通し」
公益社団法人 日本薬剤師会 相談役 / 一般社団法人 日本ジェネリック医薬品学会 理事
漆畑 稔 氏
開催概要
調剤報酬改定を間近に控え、まだ確定情報をお伝えできないなかで、その方向性についてご講演いただきました。
※本資料は2021年12月16日時点での調剤報酬改定の見通しについてお話されたものの要約です。
※本セミナー終了後の2021年12月22日に2022年度診療報酬改定の改定率が決定し、調剤の改定率は0.08%の引き上げが公表されました。
調剤報酬改定2022の動向
ー点数と財源構想についてー
漆畑氏はまず診療報酬改定・調剤報酬改定について点数だけでなくその背景も含めてお話されました。同氏が中央社会保険医療協議会(中医協)に在籍していた当時は『財源』と『配分』の両方を議論していたそうですが、さまざまな経緯を経て現在では『配分』にしか関わることができなくなったといいます。
改定率決定までの流れについて、「医科・歯科・調剤をいくらにするのか、正式には12月24日の閣議決定で決まります。それが決定すると調剤報酬の配分について議論を年末年始に行い、1月の中医協で〇〇料△△点という資料が出てくるのでそれで合意形成し、厚生大臣に方針案をお渡したうえで3月に官報に告示することで皆さんが点数表として見ることができるようになります」と説明。中医協では財源を決めることは出来ないため、「財源を決めるのは政治です。決まってからの取り合いは良い交渉の仕方ではない。皆さんもっと政治や国会に興味を持っていただきたい」と漆畑氏は参加者に呼びかけました。診療報酬の基本方針には“現下の状況に鑑みて、現実的な改定を”と指示されており、これをわかりやすく変換すると“財政が厳しいのでそれに伴い現実的な改定(マイナス改定)をする”と理解できるとのことでした。
診療報酬・調剤報酬・薬価は公的な税金と保険料で成り立っているので、税の部分は予算案として国会を通さなければなりません。今回の調剤報酬改定について“自然増は認める”とされており、インフルエンザやコロナはこれに該当するため増加した場合は自然増として認めることになります。
税収が伸びるかどうかで診療報酬改定の財源は影響を受けます。
今年は過去最高の税収ですが、通常の国会予算の約半分をコロナ関連で使用したため、来年の改定について財務省はマイナス改定を主張中とのことでした。
漆畑氏は「看護師の処遇改善、不妊治療の保険適用、IT環境の促進(※国はマイナンバーで医療や介護などの行政サービスを一元管理しようとしている)には予算を使うのでそこはプラス改定の見通し。ただ看護・コロナ・不妊治療は調剤には直接関係ないため、プラスはIT部分を含め、処方箋1枚当たり10円程度にしかならない状況。若干プラスにはなるが大きいものではない。」と述べ、財源の状況について見通しを伝えました。
調剤報酬改定2022の動向
ー点数と財源構想につい薬価改定の基本方針ー
薬価改定の基本方針に関しては、「“新薬等の適正な取り扱い等局”とあるが、行政用語の“適正な”とは下げるという意味。
後発医薬品の使用促進は進めていくが“都道府県ごと・保険者毎に(80%以上の表記は見送る)”としており、 来年も80%をメルクマールにするので、その意味では75%の点数はなくなるかもしれない
」との見方を示しました。
薬機法改正により薬局のあり方が示されて認定薬局制度が開始したことについて、「薬事なのでこれがそのまま保険の基準になることはないが、要望があれば健康保険法になじむ項目を施設基準にすることはできる」と述べ、今後の可能性について言及。 「日本は医療費の適正化(=下げる)についてずっと取り組んでおり、今は第三次医療費適正化計画のターニングポイント。大幅に医療費の適正化が進むのは2024年からの第四次医療費適正化計画から。医療費はこれ以上増やせないと政府が決めていることはよく知っておいて欲しい」と漆畑氏は伝えました。
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