2022年診療報酬等改定について

━━━ 漆畑 稔      

 我が国の実質的な医薬分業がはじまって約40年余が経過する。きっかけは医師の処方箋発行に点数がついたことであることはご承知の通りだ。医療保険制度での医薬分業への期待は、過剰投薬と言われた当時の多剤投薬や重複投薬、それに伴う薬剤費を抑制する事だ。
 特に、複数の医療機関から患者に投薬された薬剤には重複が多くみられ、また、薬剤の種類が20種類を超える等の事例が見受けられていた。もちろん、医療としては、それ等に伴う患者のリスクの増大が問題視された時代である。薬剤服用歴管理指導(料)は、それを改善するための言わば必須アイテムとして評価、導入されたものだ。

 本来は、診療報酬や調剤報酬は医師や歯科医師、薬剤師等が現に行っている行為を評価する仕組みで、評価され点数がついたら行うのは間違いだ。だからこそ、医師や薬剤師等は夫々の立場で患者に既に行っていることを主張して、評価され点数をつけてもらうのが順番で、点数がどうなるかを待っているのは間違いだ。このことは、特に薬局薬剤師に多く言える。
 もちろん、医療政策や医療保険政策として、施策を誘導のために導入する「点数」もある。

 例えば、後発医薬品調剤体制加算等がこれに該当することはご承知の通りだ。医科点数では、次回改定で不妊治療が評価、導入されるが、このことは、少子化対策として意味を持つ。近年の、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師の医療保険での導入や医療連携の評価もその類である。

 さて、診療報酬、調剤報酬、薬価改定などは薬局や医業経営にとって、ある意味で最大の関心事だ。もちろん、医療機関や薬局に勤務する医師や看護師、薬剤師などにとっても同じことが言える。ところが、その仕組みや改定が行われる背景や議論の経過等を正確に理解しているかと言えば、そうでもなさそうだ。調剤報酬などの成り立ちや、これまでの経緯などの背景を含めて理解を深めることは必要だ。
 ご承知の通り、診療報酬や調剤報酬などの内容は厚生大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会で議論される。その所管は厚生労働省保健局医療課だ。医療課長は医師、そこに調剤報酬や薬価を担当する薬剤管理官が配置されて担当している。また、中央社会保険医療協議会には私達調剤を代表する委員は1名で言わば孤軍奮闘である。

 一方で、診療報酬、調剤報酬など財源の交渉は、近年では政治的な関りが大きい。医療費の約四分の一は国庫(税金)で負担しており財務大臣、財務省の所管事項でもあるからだ。経営者の専らの感心の多くは、「点数」が上がるか下がるかにあると思うが、それを有利にするためには政治の力もまた必要である。政治対策も中央社会保険医療協議会での対策でも、そのために最も必要なことは日頃の実績とそれを示すデータだ。あるべき論やこんなことができる、ではなく既に行っている実績なのである。

漆畑 稔(うるしばた みのる) 

公益社団法人 日本薬剤師会 相談役 / 一般社団法人 日本ジェネリック医薬品学会 理事  

 1946年生まれ。68年明治薬科大学製薬学科卒業。静岡市薬剤師会理事、副会長、静岡県薬剤師会理事、日本薬剤師会常務理事、副会長を歴任。1998年から2005年にかけて中央社会保険医療協議会の委員を務め、現在、日本ジェネリック医薬品学会理事、日本薬剤師会相談役なども務めている。

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