令和4年度調剤報酬改定への対応を

見誤らないための3つのポイント

━━━ 狭間 研至      

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、世界に冠たると称される日本の医療モデルの欠点が浮き彫りになりました。それを受けて令和4年度診療報酬改定、そして調剤報酬改定は、従来とは大きく異なる観点で議論がなされ、詳細が決められてきました。今回の調剤報酬改定への対応を見誤らないためのポイントをご参考にしていただければと思います。

 1. 包括払いから出来高払いへ頭を切り替える

1. 包括払いから出来高払いへ頭を切り替える

 調剤報酬改定は、調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算などをきっちりとっていくことが重要でした。ですので、2年に一回の改定にあたっては、このあたりがいかに高く算定できるかということの要件を整えれば、処方内容で売上げは変わりますが利益は変わらないという意味では、定額制、すなわち包括払いの考え方だったように思います。
 しかし、今回は薬剤師がどのような「対人業務」を行ったのかということが重要になるでしょう。行った行為をきちんと記録して売上を上げるという意味では、まさに、出来高払いの考え方になると思います。

 2. 薬剤師のFAFがキモになる

2. 薬剤師のFAFがキモになる

 FAFというのは、服用後のフォロー(F)、薬学的アセスメント(A)、医師へのフィードバック(F)のことです。今回の調剤報酬改定では「対物中心から対人中心」への業務のシフトを後押しする内容になるでしょう。
 FAFを行うポイントは、薬剤師の業務フローの整理と見直しを行い、積極的な機械化とICT化を推進することで、「業務的には重要だけれども、薬学的専門性はない」という業務をあぶり出していくこと、そして、それらの業務を担えるような人材を育成し、現場に投入していくことです。これらによって、薬剤師は「対人業務」に取りかかるための時間・気力・体力を確保でき、薬剤師によるバイタルサインの手技や、薬学的知識、さらには患者応対の研修を行い、現場で活動できるようになるのです。

 3. 調剤以外の芽を育て始める

3. 調剤以外の芽を育て始める

 今回の調剤報酬改定に向けた議論にもありましたが、健康保険でカバーされる範囲は、少しずつ狭くなっていくでしょう。OTC類似薬がある場合の保険適用を外す…とまではいかなくても、自己負担率を上げるとか、保険の給付範囲を減らすということは視野に入ってきていると思います。地域医療ニーズに応えるためにも、薬局・薬剤師の新たな展望を開くためにも是非、調剤以外の芽を育て始めていただきたいと思います。

 このように見てみると、1)については、薬局は立地が重要なのではなく、機能が重要であるとのことですし、2)については、薬剤師がお薬をお渡しするまで(=対物業務)ではなく、のんだ後まで(=対人業務)が重要だということになりますし、3)については、保険調剤もOTCもサプリメントもまとめて一つの薬局、一人のかかりつけ薬剤師でということになります。
 これは、お気づきのように2015年に示された「患者のための薬局ビジョン」そのものです。6年の時を経て、いよいよあのビジョンが具現化されようとしている。そう考えると、今回の調剤報酬改定への対応への本気度が固まってくるのではないでしょうか。

狭間 研至 (はざま けんじ) 

ファルメディコ株式会社代表取締役社長 / 一般社団法人薬剤師あゆみの会理事長 /医師、医学博士

 1969年 大阪生まれ。1995年大阪大学医学部卒業後、大阪大学医学部付属病院、大阪府立病院(現 大阪府立急性期・総合医療センター)、宝塚市立病院で外科・呼吸器外科診療に従事。2000年大阪大学大学院医学系研究科臓器制御外科にて異種移植をテーマとした研究および臨床業務に携わり、2004年同修了後、現職。現在は、医療法人思温会など在宅医療の現場等で医師として診療も行うとともに、一般社団法人 薬剤師あゆみの会・一般社団法人 日本在宅薬学会の理事長として薬剤師生涯教育に、近畿大学薬学部・兵庫医療大学薬学部の非常勤講師として薬学教育にも携わっている。

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