対人業務へシフトするために効率化できるポイントとは?

 2020年9月に施行された改正薬機法により調剤後の服薬フォローアップが義務化されました。 『対物から対人』といわれるなかで薬局・薬剤師は調剤だけでなく、薬の専門家として服薬期間を通して患者さまの健康をサポートすることが求められています。しかし、従来の膨大な業務を行いながら対人業務に取り組むことは簡単ではありません。そこで当記事では、対人業務にシフトするためにどんな業務が効率化できるのか最新サービスをご紹介しつつ考えたいと思います。
※2021年11月時点での情報・サービス内容をご紹介しています。

薬局の現状と抱える課題

  厚生労働省は、『患者のための薬局ビジョン』を2015年に策定し、これまでの薬剤師業務について方向転換を求め、薬剤師が専門性を発揮できるよう施策を進めてきました。これは薬局が地域包括ケアシステム構築の一員としてさらなる貢献をしていくために、患者さま本位の医薬分業の実現が目的です。

 また、2021年8月1日より『地域連携薬局』と『専門医療機関連携薬局』という機能別薬局の認定制度が開始し、さらなる対人業務へのシフトが求められています。

 オンライン資格確認や調剤報酬改定に向けての準備や対策など…薬局としてやらなければいけないことが増える一方で間接業務に時間が取られ、対人業務にかける時間を創出できないという課題があるのが現状です。

対応が迫られる薬局業界

 薬機法改正や薬価の改定、またCOVID-19による患者さまの受療行動変容に伴い、薬局の経営状況や業務に影響が生じ、現場ではその対応が喫緊の課題となっています。薬局を含む医療現場で起こっているパラダイムシフトを乗り切るためにシフトチェンジが求められています。

対人業務へシフトするために  ー 導入が進む最新サービス

 薬局内でも様々な業務がありますが対人業務にシフトするために、どこにどんなICTを導入することが考えられるでしょうか?導入が進んでいる最新サービスをご紹介します。

 在庫管理・発注

【 AIによる需要予測で欠品、発注、在庫金額を削減 】
 薬局はお客さまの希望する調剤にいつでも対応することが求められますが、過剰在庫は廃棄につながり、利益率を圧迫します。これまではどの薬をいつ、どのくらい発注するかはベテランの経験に裏付けされたものでした。 しかし最新のAI技術を利用することで、これまで蓄積された膨大な実績データを解析。AIが最適な発注品目・数量の答えを提示してくれます。さらに電子薬歴・レセコン一体となった在庫管理システムで、調剤から発注まで薬品の動きを一元管理しながら在庫最適化を実現します。

 服薬フォロー

【 薬剤師業務の義務となった服薬フォローを効率化 】
 2020年9月に施行された改正薬機法により調剤後の服薬フォローアップが義務化されました。このフォローアップを電話で行う場合、かけるタイミングが難しく、相手が不在の場合は何度もかけ直さなくてはなりません。また、ヒアリングすべき対象や内容がわからないといった課題もあります。

 フォローアップを効率化するためのツールとして、LINEを活用するものも出ています。多くの人が普段の生活で使用しているLINEなら、服薬フォローアップ開始時に新たな操作を覚えることなく、薬剤師と患者がつながることができます。
 さらにはLINEの機能性を活かし、設問式のフォローアップコンテンツや動画の送信を行う事ができるため、手間なく正確でわかりやすい情報提供を行うことが可能です。

 会計

【 セミセルフレジの導入で現金管理を効率化 】
 セミセルフレジとは患者さま自身で精算を行うレジのことです。患者さまは対面の精算機に表示された金額を自分で入金します。釣り銭もレジから自動的に払い出されるため、現金の受け渡しによる接触がありません。
 また、一部負担金が調剤レセコンと連動されるため、レジ入力の負担が軽減されます。セミセルフレジは小型かつ低コストで導入可能であり、衛生管理と効率の面でメリットが大きいため薬局でも徐々に導入が進んできました。

人がやっていた作業をシステムが代行することで生まれるメリット

 今まで薬剤師がやっていた煩雑な作業をシステムに任せることで様々なメリットが生まれます。 単純に作業に費やす人件費が削減できるだけでなく、現金の数え間違いのような人為的なミスや、在庫管理や発注のように特定のスタッフしかできないという属人化の防止にもつながります。
「限られた時間のなかでたくさんのことを正確にこなさければいけない」という心理的な負担を軽減できることも大きなメリットではないでしょうか。また昨今では人を介さないことで感染症対策の面でも安心です。

 いかがでしたか? これからの薬剤師の業務は対人が中心となり、対物業務はロボットやシステムが代行するようになると言われています。自局の目指すべき方向を定め、優先順位をつけて最新ツールの導入を検討してみはいかがでしょうか?

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