薬剤師コラム Vol.2
あなたは病院で職業が薬剤師であることを伝える?

 薬剤師も医療従事者である。ただし、特別な人間でもなく、周りの方と全く同じ、一般市民、つまりひとりの人間です。したがって病気にだってかかる。当然、病院を受診することになります。さてあなたは病院を受診する際に、薬剤師であることを伝えていますか?それとも伝えていませんか?それぞれのメリット、デメリットを考えてみよう!

私、薬剤師です

 まず薬剤師であることを医師に伝える場合のメリットを考えてみましょう。私の経験上、医師・看護師含め、同じ医療人として仲間意識があるため、診察時にも細かく教えてくださるような医師が多いように思う。最初はあまり口数の少ない医師でも薬剤師であることがわかると、お話をよくしてくださるようになる。また治療方針に関してもインフォームドコンセントが充実することは最大のメリットと思う。

 それではデメリットはないのだろうか?もちろん私の経験上ある。まず忙しいときはお話しする時間が短くなる。医師も薬剤師である私に対しては安心感を持っているからだろう。何か問題があれば、すぐに病院に来てくれる、病気のことは理解してくれているというように考えているのだろう。お互い医療人だから忙しいときは「て・み・じ・か・に」です。逆にデメリットは何があるのだろう。そうです、最大のデメリットはわがままを言えないこと、甘えられないことです。どうしてもこの治療は受けたくない、この検査は怖いというときに医師はもちろん、周りの看護師にも甘えるのに度胸がいる。

 一度、入院して気管支鏡検査を受けたことがある。何人もの先生から「大変だから頑張ってね」「あの検査は一番受けたくない検査ですね」と言われ、気になり看護師に相談したところ、なんと看護師さんもみなさん口を揃えたかのように同じ回答。検査前に大大緊張!確かにきつい検査だった。もう二度と受けたくないどころか、終了した瞬間、早く家に帰り、同居の猫に会いたいと妻に涙ながらに話した覚えがある。

 結果、検査結果は問題がなかったからよかったものの、あの緊張した検査前の日々のことはいまだに忘れられない。

ひとりの一般市民として

 では薬剤師であることを医師に伝えずに受診する場合のメリットとは何があるのだろうか?これはド素人のふりをして、なんでも聞けてしまうこと。最大のメリットはもうわかりますよね。医師にも看護師にもわがままや甘えることができます!おそらく気管支鏡検査の前に薬剤師であることを伝えなければ、きっと励ましてくれたはず。それはそうですよね。検査を受けてもらわないことは医師にとって治療をするうえで大きな問題となります。

 一方で薬剤師である私には嘘を付きたくないから本音を話してくれたのでしょう。それはそれで医師を信じて治療に専念できるという方向につながるのでしょうが。そしてデメリットは何があるのでしょう!伝えないことのデメリットはあまりないような気がしています。敢えて言うならば、私が知っている知識や医療用語を隠しながら対応することがかなり大変なことぐらいでしょうか。

ところで医師は薬局では職業を伝える?

 薬局で働いているときに、医師は自分の職業を明かさない方が多いことに気付かれる方もいらっしゃると思います。一度、理由を聞いた事がある。その時の医師の答えは「薬剤師が医師(又は自分)の処方した薬をどのように患者へ服薬指導しているのかが知りたい。気になるから」ということでした。

 確かに、医師と薬剤師が別々のことを話していたら、患者も困惑するし、医師も治療上の不利益になるようなことは望まない。 薬剤師が果たす役割は、服薬フォローやリフィル処方箋等、今後も責任ある職務は拡大していくと思われます。私が知る限り、薬剤師へ感謝や期待している医師は多い。

そして私の答えは

 この流れで何となくお分かりかとは思いますが、私の答えは「病院で受診・治療を受ける時には薬剤師であることを言わない」です。みなさんはいかがでしょうか?当然、診療科目や受診内容にもよりますし、性格も違うため、答えは人それぞれだと思います。

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