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加齢と睡眠の質と認知症の関係

 年をとるにつれて睡眠習慣が変化する人は多いが、一部の高齢者では、それに伴って深く良質な睡眠をとる能力も失われることが分かった。この知見は、米カリフォルニア大学バークレー校のBryce Mander氏らが睡眠と加齢に関する医学文献を分析したレビューで示唆したもの。

 Mander氏は、「高齢者に生じる睡眠の“断片化”は健康に影響し、うつ病や認知症など多くの疾患とも関連している。睡眠が断片化されると、夜中に何度も目を覚まし、深い睡眠段階がなくなってしまう」と話す。同氏らによると、特定の疾患やその治療が睡眠障害を引き起こすことも事実だが、逆に、睡眠の質の低下が疾患を引き起こすこともありうるという。

 たとえば、睡眠障害と認知症の進行には「双方向」の関係があることが知られている。認知症の患者では睡眠障害が起きやすく、一方で、睡眠の質の低下は記憶力やその他の認知機能の低下を加速させうる。認知症になると脳内で蓄積されるアミロイドβ蛋白は、深い眠りによって除去されるという動物研究の報告もある。つまり、認知症と睡眠不足が互いに助長しあう「悪循環」に陥る可能性がある。

 一方で、高齢者では「早寝早起き」の傾向があり、若い頃よりも睡眠時間がわずかに短くなることも知られているが、こうした睡眠習慣の変化は正常であるという。

 「健康に影響する重要な生活習慣因子として、運動や健康的な食生活だけでなく、睡眠にも気を配ることが大切だ」と同氏は述べ、定期的な運動による効果の1つとして、睡眠の質の向上も期待できると指摘。深い睡眠をとる能力は中年期から低下する場合も少なくないため、若いうちからケアをするべきだとアドバイスしている。

 このレビュー結果は、「Neuron」4月5日号に掲載された。

(HealthDay News 2017年4月5日)

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