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二次がんの死亡率は若年者の方が高い

 若年者が二次がんになった場合、中高年者の場合に比べて死亡率が大幅に高まることが新たな研究で示された。二次がんとは、がん経験者に起こる再発ではない新たながんのことで、発症にはがん治療などが影響するとされる。若年のがん患者では全般的に予後が不良となるが、今回の知見はその要因の1つを明らかにした可能性があるという。

 また、ほとんどのがん種では、二次がんの方が一次がんに比べて生存率が低いことも判明した。特に患者が40歳未満の場合は、この傾向が顕著であったという。

 研究著者である米カリフォルニア大学デイビス総合がんセンターのTheresa Keegan氏は、「がん生存者では二次がんの発症率が高いことはよく知られているが、その転帰や年齢による違いはあまり知られていない」と述べている。

 今回の研究では、米国で1992~2008年に診断され、2013年以降まで追跡されたがん患者100万人以上を対象とした。解析の結果、15歳未満の小児および40歳未満の若年者における一次がんの5年生存率は80%であったが、二次がんを罹患した場合の5年生存率は小児では47%、若年者では60%へと低下することが分かった。一方、40歳以上の中高年者では、一次がんの5年生存率は70%、二次がんの5年生存率は61%であった。

 若年者で特によくみられる14種類のがんに着目すると、そのうち12種類のがんでは、一次がんであるか二次がんであるかにより5年生存率に有意な差がみられた。例えば、若年者の急性骨髄性白血病の5年生存率は、一次がんの場合は57%であったが、二次がんの場合はわずか29%であった。若年者の乳がんの5年生存率は、一次がんの場合は81%、二次がんの場合は63%であった。

 同じ二次がんでも、中高年者よりも若年者の方が予後不良になる理由は明らかにされていないが、研究グループはいくつかの理由を推測している。例えば、治療への応答性が悪いこと、以前にがん治療を受けているために受けられる治療の種類や用量が制限されること、治療に耐えられる体力の低下などが考えられるという。

 また、精神的な健康状態や社会的問題も要因となる可能性がある。研究共著者である米ジョン・ウェインがん研究所(カリフォルニア州サンタモニカ)のMelanie Goldfarb氏は、「若い人は必要な支援や資金を十分に得られない」と指摘。「適切な保険に加入していない場合や、医療制度をうまく利用できない場合もある。うつ病にかかり、それが全体的な健康状態にも影響して、がんの転帰を悪化させる可能性もある」と説明している。

(HealthDay News 2017年4月20日)

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