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統合失調症患者では重篤な感染症のリスクが高い

 統合失調症患者は重篤な感染症のリスクが高い可能性があると、新たな研究で示された。研究著者である南デンマーク大学のMonika Pankiewicz-Dulacz氏らは、「予備的研究から、統合失調症の人は一般集団に比べて、あらゆる種類の重篤な感染症の有病率が高いことが示唆された」と述べている。

 「臨床医は、統合失調症患者が重篤な感染症のリスク集団であることを認識しておくべきである。統合失調症患者における感染症予防のガイドラインや提言の策定が必要とされており、これは患者の衛生、食事、身体活動、薬物療法、併存疾患の治療、ワクチン接種などの幅広い領域に対応するものでなくてはならない」と、研究グループは結論づけている。ただし、この知見は因果関係を明らかにするものではない。

 今回の研究では、デンマークに在住する約89万4,000人のデータをレビューした。対象者は1975~1990年生まれで、うち約8,000人は統合失調症患者であった。解析の結果、感染性疾患の有病率は一般集団では25%だったのに対し、統合失調症患者では36%であった。重篤な感染症の有病率も、統合失調症患者では一般集団に比べて63%高かった。

 統合失調症患者と一般集団における一部の重篤な感染症の有病率は以下のとおりであった。

・HIV(0.2%対0.05%)
・敗血症(0.7%対0.3%)
・肝炎(1.4%対0.2%)
・皮膚感染症(12%対6%)
・結核(0.12%対0.06%)
・消化管感染症(8.7%対6%)
・性器感染症(2.6%対1.5%)
・泌尿器感染症(3.6%対2%)

 感染症リスクに影響を及ぼす可能性のある他の因子を考慮に入れてデータを補正しても、統合失調症患者は依然として皮膚感染症、泌尿器感染症、性器感染症、結核のリスクが一般集団の約2倍であった。

 また、依存症や他の健康問題があることが、重篤な感染症に関連する最も重要なリスク因子であることも分かった。いずれの因子も、統合失調症患者および一般集団における重篤な感染症のリスクを2.7倍に増大させていた。

 この研究はイタリア、フィレンツェで4月1~4日に開催された第25回欧州精神医学会(EPA 2017)で4月3日発表された。学会発表された知見は一般に、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

(HealthDay News 2017年4月3日)

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