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嗅覚の低下は死期が近いことを意味する?

 40代や50代でも、嗅覚が鈍くなることは早期死亡と関連することが新しい研究で示唆された。しかも、その原因は認知症ではないと思われるという。ストックホルム大学(スウェーデン)心理学准教授のJonas Olofsson氏らの研究で示唆された。

 この研究で、中年期以降に嗅覚が鈍くなった人は10年以内に死亡するリスクが20%ほど高いことが判明した。同氏によると、「嗅覚は脳の老化をよく反映しており、“坑道のカナリア”のように鋭敏な指標となるのではないか。従来の研究では嗅覚の低下が認知症と関連することが示されているが、今回の早期死亡との関連には認知症は関与していないことが判明した。従来考えられてきたものとは別の生物学的な機序が背景にあるのではないか」という。

 嗅覚の障害は「無嗅覚症(anosmia)」とも呼ばれ、高齢者では7割にみられるが、若年層では15%以下である。先行研究では、嗅覚検査の成績が悪い高齢者は、嗅覚が鋭い高齢者よりも早く死亡する可能性が高いことが示唆されている。

 Olofsson氏らは、中年期でもこうした関連性がみられるのか、また認知症が関与しているのかを検討するため、40~90歳の1,774人を対象に、嗅覚検査と認知機能低下などの健康状態の調査を実施したうえで10年間追跡した。期間中に411人が死亡した。

 検討の結果、嗅覚検査の成績が悪いほど、死亡リスクが有意に高いことがわかった。学歴や健康状態、認知機能などの加齢に関連する変数を調整して解析しても、この関連は認められた。

 嗅覚が鈍くなる原因は、怪我や感染症、薬の服用など多様であるため、嗅覚が鈍くなったと感じたらまずは医師に相談すべきだという。副鼻腔や鼻の問題に詳しい米シカゴ大学外科准教授のJayant Pinto氏は、「嗅覚検査をすると、実際よりも嗅覚を悪く感じている人が多いことがわかる。食べ物の風味には嗅覚が関与するため、食事がおいしいと感じられるなら問題はないだろう」とアドバイスしている。この論文は「Journal of the American College of Cardiology」に2月27日オンライン掲載された。

(HealthDay News 2017年3月22日)

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